ステアリング　瀬尾日々照

レビュー

ストーリーが始まった瞬間から背徳感にゾクッときた。義妹の千春が「まだお義兄ちゃんのこと好きなんよ」なんて甘え混じりに囁いてくる時点で、自制心なんて簡単に吹き飛ぶ。再婚で一度は離れたはずなのに、車の中で「ずっと寂しかった」と身体ごとぶつかってくる姿は、メンヘラっぽい危うさもあって逆にドキドキした。

制服のまま必死に迫ってくる義妹を押し返すどころか、若い肌の質感や髪の香りに抗えず、ついに唇を重ねてしまう。狭い車内での息遣い、シートを軋ませる腰使い、涙混じりの声で縋りついてくるその姿は、理性よりも本能を煽り立てる。若干病みかけの眼差しで「もっと欲しい」と求められた時、完全に堕ちてしまった。

今回は車内だけだったけど、次はベッドでじっくり絡み合う二人を見てみたい。甘酸っぱい恋心が歪んで、肉体でしか埋められない関係に落ちていく――そんな続編を心から期待している。